
レーザー核融合|一瞬で圧縮する慣性閉じ込め
2026-08-08 ・ 実践
磁場でじっくり閉じ込める方式とは正反対のアプローチがレーザー核融合(慣性閉じ込め)。一瞬の勝負で核融合を起こします。
一瞬で圧縮・加熱する
小さな燃料の粒(ペレット)に、四方八方から強力なレーザーを一斉に照射。表面が吹き飛ぶ反動で中心が猛烈に圧縮され、一瞬だけ超高温・超高密度になって核融合が起こります。花火のように「一発ずつ」くり返すイメージです。
2022年、歴史的達成
米国の**NIF(国立点火施設)**が2022年、史上初の点火(レーザーで入れたエネルギーより多くのエネルギーを核融合で得る)を達成。2025年にはさらに大きな出力を記録し、レーザー方式の可能性を示しました。
磁場方式との違い
磁場方式(トカマク等)
- 低密度を長時間閉じ込める
- 連続運転をめざす
- 発電向きとされる
慣性方式(レーザー)
- 超高密度を一瞬だけ
- パルス(一発ずつ)で反復
- 点火実証で先行
発電への課題
NIFは「科学実証」の施設で、そのまま発電所になるわけではありません。毎秒何発もペレットを撃ち続ける、レーザーの効率を上げるなど、発電には多くの工学課題が残ります。近年はレーザー核融合のスタートアップ(Xcimerなど)も登場し、投資が集まっています。
もう少し詳しく(背景と理論)
レーザー核融合は慣性閉じ込め方式(ICF)の代表で、磁場ではなく燃料自身の慣性で一瞬だけ閉じ込めます。数mm の燃料ペレットに強力なレーザーを全方向から照射し、表面が爆発的に吹き飛ぶ反作用(アブレーション)でロケットのように内側へ圧縮(爆縮)し、中心を超高密度・超高温にして点火します1。磁場方式が「低密度・長時間」なのに対し、ICF は「超高密度・超短時間」でローソン条件を満たす対極のアプローチです2。技術的難関は、爆縮の対称性——わずかな不均一がレイリー・テイラー不安定性を成長させ点火を妨げます。2022年12月、米国 NIF がレーザー投入エネルギーを上回る核融合出力(科学的ブレークイーブン、Q>1)を史上初めて達成し、大きな節目となりました3。ただし発電にはレーザー効率や繰り返し照射など、なお多くの工学課題が残ります。