
Q値とは?核融合の「もうけ」を表す数字
2026-08-12 ・ 入門
「核融合で点火した!」というニュースで必ず出てくるQ値。核融合が"もうかっているか"を表す、いちばん大事な数字です。
Q = 出てくる ÷ 入れる
← 図は横にスクロールできます →
核融合を起こすには、まずプラズマを加熱するエネルギーを入れます。そして核融合で出てくるエネルギー。この比がQ値です。
- Q < 1:入れた方が多い(赤字)
- Q = 1:とんとん(損益分岐点、ブレークイーブン)
- Q > 1:出てくる方が多い(黒字)
実用にはQ>1では足りない
発電所には Q≫1 が必要
装置を動かす電力や熱→電気の変換ロスがあるため、発電所として成り立つにはQが10以上は欲しいところ。「点火(Q>1)」はゴールではなくスタートラインなのです。
目標値の例
NIF
2022年に点火(Q>1)達成
ITER
Q=10級をめざす
発電所
さらに大きなQと連続運転
ちなみに「プラズマだけで見たQ」と「装置全体で見たQ」は別物。ニュースを読むときは、どちらのQかに注意すると正確に理解できます。
もう少し詳しく(背景)
Q値は、核融合の成績を測るいちばん分かりやすい指標で、「核融合で得られたエネルギー ÷ プラズマを加熱するために入れたエネルギー」です1。Q=1が、入れたぶんと同じだけ返ってきた状態で「ブレークイーブン(損益分岐点)」と呼ばれます。Q=10なら、10倍のエネルギーが取れたということ。そして究極が、外から加熱しなくても核融合の熱だけで反応が続く「点火」の状態です2。2022年、アメリカのレーザー核融合施設NIFが、投入したレーザーのエネルギーを上回る核融合出力(Q>1)を史上初めて達成し、大きなニュースになりました。ただし、ここで注意したい落とし穴があります。この「Q」はプラズマに入った熱に対する比であって、発電所全体の効率とは別物だということ。加熱装置の効率や、熱を電気に変える際の損失を含めると、実際に電気を売れる正味の出力を得るには、もっと高いQが必要になります3。だからニュースで「Q>1達成」と聞いても、それは「発電できた」という意味ではなく、あくまで科学的なマイルストーン。この区別が、核融合の進捗を正しく読むうえで重要です。