
磁場閉じ込めとヘリカル|トカマク以外の選択肢
2026-08-07 ・ 入門
磁場でプラズマを閉じ込める方式には、トカマクのほかに**ヘリカル(ステラレータ)**があります。それぞれの得意分野を見ていきましょう。
2つの方式の比較
← 図は横にスクロールできます →
トカマク
- プラズマに電流を流して磁場を作る
- 構造が比較的シンプル
- 電流が途切れると不安定に
ヘリカル(ステラレータ)
- ねじれたコイルだけで磁場を作る
- プラズマ電流が要らず定常運転に強い
- コイルが複雑で作るのが難しい
ヘリカルの強み「定常運転」
トカマクはプラズマに電流を流し続ける必要があり、長時間の連続運転が課題です。ヘリカルはコイルの形だけで閉じ込められるため、原理的にずっと運転し続けられるのが大きな利点。発電所には安定運転が向いています。
日本が世界をリード
日本のLHD(大型ヘリカル装置)は世界最大級のヘリカル研究装置。スタートアップのHelical Fusionも、この方式で2030年代の発電実証をめざしています。
もう少し詳しく(背景)
磁場閉じ込めは、「1億℃のプラズマを、どんな容器にも触れさせずに保持する」という難題への答えです。そんな超高温では、どんな金属の壁も一瞬で溶けてしまう。そこで、プラズマが電気を帯びている性質を利用します——荷電粒子は磁力線に巻き付いて回りながら進むので、強い磁場を"見えない檻"のように使えば、プラズマを壁から離して宙に浮かせられるのです1。ただし磁力線に沿う方向にはスルスル動けてしまうため、トカマクは磁場をドーナツ状に閉じて端からの漏れを防ぎます。閉じ込め性能を上げる鍵は磁場の強さで、強いほどプラズマをぎゅっと小さく閉じ込められます。だから核融合炉は、10テスラ級という超強力な超伝導磁石を必要とします2。もう一つの主要方式が、レーザーで一瞬だけ超圧縮する慣性閉じ込め(レーザー核融合)で、磁場方式が「低密度で長時間」なのに対し、こちらは「超高密度で一瞬」と対極的。どちらも「太陽の力を地上で再現する」ための、異なるアプローチです。