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核融合の出力密度をPythonで計算する|密度と温度で決まる発熱量

2026-10-08実践

#出力密度#反応率#D-T反応#Python#実践

核融合炉が単位体積あたりどれだけの熱を生むか——それが 出力密度 です。密度・温度・反応率で決まり、炉の大きさや経済性を左右します。Pythonで計算し、なぜ「濃く・熱く」が効くのかを数値で理解します。ローソン条件を出力の視点から見る回です。

出力密度の式

D-T反応の出力密度(単位体積あたりの発熱)は次で決まります。

P = n_D × n_T × 〈σv〉 × E_fusion

n=各燃料の密度、〈σv〉=反応率(温度で決まる)、E_fusion=1回の反応エネルギー(17.6MeV)。密度が2つ掛かるので、密度の2乗で効くのがポイントです。

準備

pip install numpy

① 出力密度を計算

温度ごとの反応率〈σv〉(実測に基づく代表値)を使って計算します。

import numpy as np

E_fusion = 17.6e6 * 1.602e-19      # 17.6MeV をジュールに

# D-T反応率〈σv〉[m^3/s](温度ごとの代表値)
sigma_v = {10: 1.1e-22, 15: 2.1e-22, 20: 3.2e-22}

n_total = 1e20                     # 全体密度
n_D = n_T = n_total / 2            # D:T = 1:1

for T, sv in sigma_v.items():
    P = n_D * n_T * sv * E_fusion
    print(f"温度 {T}keV → 出力密度 {P/1e3:.0f} kW/m³")

出力:

温度 10keV → 出力密度 775 kW/m³
温度 15keV → 出力密度 1480 kW/m³
温度 20keV → 出力密度 2256 kW/m³

温度が10→20keVで、出力密度が約3倍に。反応率〈σv〉が温度とともに急増するためです。

② 密度を上げるとどうなるか

密度は2乗で効くので、密度を2倍にすると出力は4倍になります。

sv = 2.1e-22       # 15keV
for n_total in [1e20, 2e20, 3e20]:
    n_D = n_T = n_total / 2
    P = n_D * n_T * sv * E_fusion
    print(f"密度 {n_total:.0e} → 出力密度 {P/1e3:.0f} kW/m³")

密度2倍で出力4倍。濃くすれば効率よく発熱します。ただし密度を上げると放射損失や圧力も増えるので、無制限には上げられません。

🌱

D:T=1:1が最適

出力は n_D × n_T なので、全体の密度が同じなら D と T を半々にするのが最大。どちらかに偏ると積が小さくなります。だから燃料は重水素と三重水素を1:1で混ぜるのが基本です。

⚠️

密度・温度・時間の三すくみ

出力を上げるには密度と温度を上げたいが、どちらも閉じ込めや損失の制約を受けます。密度・温度・閉じ込め時間の3つを同時に満たすのが核融合の難しさ。出力密度はそのうち「密度×温度」の部分を担う指標です。

まとめ

  • 出力密度 = n_D × n_T × 〈σv〉 × E。密度の2乗で効く
  • 反応率〈σv〉は温度とともに急増(10→20keVで出力3倍)
  • 密度を2倍にすると出力は4倍
  • D:T=1:1が最適。密度・温度・時間の同時達成が核融合の課題

もう少し詳しく(背景と理論)

核融合の出力密度は P ∝ n²·⟨σv⟩·E で表され、燃料密度 n の2乗に比例するのが最重要ポイントです(同種燃料なら n²/4)1。密度が2倍になれば出力は4倍になるため、いかに高密度のプラズマを保つかが出力の鍵になります。反応率 ⟨σv⟩ は温度に強く依存し、D-T では約13〜14 keV で最適化されます2。圧力 p = nkT で書き直すと、出力密度は圧力の2乗に比例するため、ベータ値(=どれだけ高圧プラズマを閉じ込められるか)が経済性に直結します3。ただし密度にはグリーンワルド限界という上限があり、無制限には上げられません。だから「高密度・適温・高ベータ」を同時に成立させる配位の探索が、炉設計の中心課題になります。

次の一歩 🌸

成立条件はローソン条件、放射損失は制動放射、反応エネルギーは核融合エネルギーをPythonでへどうぞ。

Footnotes

  1. 出力密度 P ∝ n²⟨σv⟩。密度の2乗で効くため、高密度化が最も効果的。ただし密度限界(Greenwald)で上限がある。

  2. D-T の反応率 ⟨σv⟩ は約10〜20keVで最大付近。低すぎると反応せず、高すぎても効率が落ちるため最適温度帯が存在する。

  3. p=nkT で書くと出力密度は圧力の2乗に比例。同じ磁場で高圧を保つ=高ベータが経済性を決める。だからベータ限界の緩和が研究される。

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