2030年代
国が目指す発電実証の時期(従来の方針は2050年頃)
3.1兆円
フュージョンエネルギーへの官民投資額の想定(2040年度まで)
約2兆円
QSTが検討中の原型炉計画「Q-DEMO」のコスト(2026年3月公表)
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金額は「どの段階の数字か」で意味が変わります。概算要求は各省が財務省に出した希望額で、まだ決まっていません。当初予算は国会で成立した年度の予算、補正予算は年度の途中で追加された予算です。官民投資額の想定は、国と民間を合わせた今後の投資の見込みで、予算として確定した金額ではありません。このページでは、数字のそばに必ず段階を書いています。
いま動いている主な方針
フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(2025年6月4日改定)
核融合の国家戦略です。2025年6月の改定で、世界に先駆けた2030年代の発電実証を目指すと明記されました。それまでの政府方針は2050年頃だったので、大きな前倒しです。内閣府が司令塔となり、量子科学技術研究開発機構(QST)などを拠点にして、産業のまとまり(エコシステム)を作るとしています。
フュージョンエネルギーの社会実装に向けた取組の在り方(2026年4月8日・タスクフォース決定)
発電実証をどう進めるかの考え方をまとめた文書です。実施主体には商用化を担う事業者が参画すること、費用は民間事業者と国の負担で進めること、建設地は実施主体が選び国が自治体と連携して支援することなどが示されました。国がどの発電方式を支援するかは、技術の実現可能性・事業化の可能性・開発体制などで評価するとしています。
戦略17分野の官民投資ロードマップ(2026年7月21日・日本成長戦略本部決定)
国が重点を置く17分野の工程表で、「フュージョンエネルギー」は独立した1分野です。官民投資額は2040年度までで3.1兆円(発電実証プラントが1つと仮定した試算)、経済波及効果は9.4兆円と想定されています。当面は、実績のある方式の開発とスタートアップなどの挑戦的な開発を並行して支援し、数年後をめどに、国が発電実証に向けて支援する方式を決めるとしています。
国の体制とお金の全体像
司令塔は内閣府です。国は、3つの進め方を並行させています。それぞれ担当する省庁が分かれています。
| 進め方 | 主な担当 | お金 |
|---|---|---|
| ① 実績のある方式を加速(ITER、JT-60SA、原型炉の開発) | 文部科学省、量子科学技術研究開発機構(QST) | 208億円(令和8年度 当初予算案)、95億円(令和7年度 補正予算) |
| ② スタートアップなどの研究開発を支援 | 経済産業省 | 発電実証推進事業:総額600億円(うち令和7年度補正で200億円) |
| ③ 共通で必要な要素技術の開発と、拠点の設備の整備 | 内閣府、文部科学省 | 326億円(令和7年度 補正予算) |
①と②の進み具合を見たうえで、数年後をめどに「国が発電実証に向けて支援する方式」を決め、そこに人と資金を集中させる、というのが国の考え方です。③は、どの方式にも必要になる技術(燃料のトリチウムの扱いなど)を、国の研究拠点で先に固めておく取組です。
主な事業とお金の動き
| 事業 | 金額 | 段階 |
|---|---|---|
| ITER計画・BA活動・原型炉を見据えた基盤整備など(文科省) | 208億円 | 令和8年度 当初予算案 |
| 同上(文科省) | 95億円 | 令和7年度 補正予算 |
| フュージョンイノベーション拠点に必要な設備の整備(内閣府・文科省) | 326億円 | 令和7年度 補正予算 |
| フュージョンエネルギー発電実証推進事業(経産省) | 200億円 | 令和7年度 補正予算 |
| フュージョンエネルギー発電実証推進事業(経産省) | 326億円 | 令和9年度 概算要求 |
| フュージョンエネルギー産業基盤強化事業(経産省・新規) | 62億円 | 令和9年度 概算要求 |
経産省の発電実証推進事業は、複数年度の契約分を含めると総額600億円とされています。令和9年度(2027年度)の数字は概算要求の段階で、年末の予算編成で変わる可能性があります。
直近の決定
- 2025年6月4日 フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を改定(2030年代の発電実証を明記)
- 2026年3月 QSTが原型炉計画「Q-DEMO」を公表(コスト約2兆円、実施主体は未定)
- 2026年3月 第7期科学技術・イノベーション基本計画を閣議決定。フュージョン関連技術を重点領域に位置づけ
- 2026年4月8日 「フュージョンエネルギーの社会実装に向けた取組の在り方」をタスクフォースが決定
- 2026年7月21日 日本成長戦略と、戦略17分野の官民投資ロードマップを決定(2040年度までで3.1兆円の想定)
これから見るポイント
- 国が発電実証に向けて支援する方式を、いつ・どう決めるか
- 発電実証の実施主体と建設地
- 安全規制の整備(開発の進み具合に応じて段階的に検討するとされています)
- 令和9年度予算の編成で、概算要求の金額がどこまで認められるか
読み手別のひとこと
- 学生の方へ:「2030年代に発電実証」は、発電所として売電を始める時期ではなく、発電できることを実際に示す段階の目標です。全体像は核融合とは?からどうぞ。
- エンジニアの方へ:国の方針は、トカマク型に加えてヘリカル型・レーザー型も含めて幅広く支援する形です。方式の違いはトカマクのしくみとレーザー核融合で確認できます。
- ビジネスの方へ:ロードマップは、発電所本体だけでなく部品や材料の供給網づくりを重視しています。周辺産業の見方は核融合ビジネスの今にまとめています。
