「地上に太陽を作る」——SFのような話が、いま世界中で本気で進められています。それが核融合。まずは全体像をやさしくつかみましょう。
この記事で分かること
- 核融合は、太陽が輝いているのと同じ「軽い原子核どうしがくっつく」反応であること
- 地上で反応を起こすには、太陽の中心よりも高い1億℃以上の超高温が必要なこと
- 核分裂(原発)に比べて、暴走事故が起きにくく高レベル放射性廃棄物も少ないこと
対象読者:核融合について予備知識ゼロの方
執筆:ゆるふわ核融合編集部 最終更新日:2026年8月1日
太陽が光る原理を地上で
太陽は、水素の原子核どうしがくっついて(融合して)莫大なエネルギーを出し、光り輝いています。この核融合を地上の装置で再現し、電気を作ろうというのが核融合発電です。
なぜ「夢のエネルギー」?
燃料は海水などから得られてほぼ無尽蔵。CO2を出さず、暴走事故が原理的に起きにくく、高レベル放射性廃棄物も少ない。うまくいけば人類のエネルギー問題を大きく変えられます。
まずは反応を体験
核融合には1億度という超高温が必要です。加熱してみましょう。
🔥 プラズマを加熱して核融合を起こそう
「加熱」を押して1億度をめざそう。届くと核融合が起きます
核融合には太陽の中心よりさらに高い「1億度」級の超高温が必要。これを保つのが最大の難しさです
5つの要素でできている
核融合の5要素
きほん
反応のしくみ
閉じ込め
1億度を扱う
材料・技術
実現の壁
プロジェクト
誰が挑む
エネルギー
脱炭素の中で
核融合と核分裂のちがい:「割る」と「くっつける」
← 図は横にスクロールできます →
- 核分裂(今の原発):ウランなど重い原子核を割ってエネルギーを取り出す
- 核融合(太陽と同じ):水素など軽い原子核をくっつけてエネルギーを取り出す
どちらも核のエネルギーですが、方向が逆なのです。
核融合と核分裂は何がちがう?
核分裂(既存原発)
- 連鎖反応が続く→暴走リスク
- 長寿命の高レベル廃棄物
- 燃料ウランは有限
核融合(開発中)
- 条件を外すと即止まる→暴走しない
- 廃棄物が少なく短寿命
- 燃料は海水などから豊富
安全性の考え方
核融合は「厳しい条件を保ち続けないと反応が止まる」ため、事故時は自然に停止します。福島のような炉心溶融は原理的に起きません。ここが大きな安心材料です。
ただし核融合はまだ実用化されていません。そこが最大の違いでもあります。
いつ実現するの?
研究段階から、いよいよ商用化をめざす段階へ。国家プロジェクトのITERに加え、スタートアップが2030年代の発電をめざしています。ただし、まだ乗り越える壁も多く残っています。
よくある質問
Q. 核融合とは何ですか?
核融合とは、軽い原子核どうしがくっついてより重い原子核になる際に莫大なエネルギーを放出する反応です。太陽が輝いているのもこの核融合によるもので、地上でこれを再現し発電しようとする試みが核融合発電です。
Q. 核融合と核分裂(原発)の違いは何ですか?
核分裂は重い原子核を割ってエネルギーを取り出す反応で、現在の原子力発電所の方式です。核融合はその逆で、軽い原子核をくっつける反応です。核融合は核分裂に比べて暴走事故が原理的に起きにくく、高レベル放射性廃棄物も少ないという利点があります。
Q. なぜ核融合には1億℃もの高温が必要なのですか?
原子核同士はプラスの電気を帯びていて反発し合うため(クーロン障壁)、これを超えて融合させるには太陽の中心よりもさらに高い1億℃以上の超高温が必要になります。
Q. 核融合はいつ実現しますか?
国家プロジェクトのITERに加え、複数の民間スタートアップが2030年代の発電開始を目指しています。ただし超高温プラズマの安定した閉じ込めなど、乗り越えるべき技術的課題もまだ残っています。
📚 もう少し詳しく(背景)気になる人向け・タップで開く
核融合は、軽い原子核どうしがくっついて、より重い原子核になるときに莫大なエネルギーを出す反応です。太陽が輝いているのも、この核融合のおかげ1。よく混同される核分裂(重い原子を割る、今の原発の方式)とは逆の反応で、核融合のほうが同じ量の燃料からずっと多くのエネルギーを取り出せ、しかも暴走事故が起きにくく、高レベル放射性廃棄物も格段に少ないという利点があります。
燃料も、重水素は海水から取れてほぼ無尽蔵。まさに"夢のエネルギー"です2。ではなぜまだ実用化していないのか——それは、原子核どうしを融合させるのに、太陽の中心よりさらに高い1億℃以上という途方もない超高温が必要だから3。この超高温のプラズマを、容器に触れさせずに閉じ込め、安定して反応を続けさせるのが、20世紀半ばから続く大きな挑戦なのです。
近年は技術の進歩と民間投資で、「いつか」だった核融合が「いつまでに」という現実的な目標に変わりつつあります。
つぎに読むなら
- 核融合と核分裂のちがい
- プラズマってなに?
- なぜこんなに難しいの?
- 全体地図
参考資料・出典
- IAEA「What is Fusion, and Why Is It So Difficult to Achieve?」地上では太陽の重力が使えないため1億℃超の高温が必要になる理由の解説
- ITER「Hotter than the sun」太陽の中心(約1500万℃)よりはるかに高い温度がプラズマに必要な理由
- ITER「Advantages of fusion」重水素は海水から得られほぼ無尽蔵であること、暴走事故が起きないこと、高レベル放射性廃棄物を出さないことの公式解説
- IAEA「Safety in Fusion」核融合は連鎖反応による暴走が原理的に起きないことの解説
- ITER公式プロジェクト概要34カ国が参加する国際プロジェクトの概要
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執筆:ゆるふわ核融合編集部 最終更新日:2026年8月1日
